成年後見制度・遺言書作成について
成年後見制度には,『法定後見制度』と『任意後見制度』があります。
高齢で判断能力が衰えている人の場合,適切な財産管理がなされないことがあります。
また第三者から不動産・預貯金等の財産を狙われたり,一部の親族が財産を勝手に持ち去ったりすることもしばしば起こります。
成年後見制度とは,このような高齢者を支援し,保護する制度です。
法定後見制度
∫ 成年後見制度促進法が成立
認知症や精神障害などで判断力が不十分な人の財産管理などを行う成年後見制度の利用促進を図る議員立法が平成28年4月8日の衆院本会議で,自民,公明,民進など各党の賛成多数で可決し,成立しました。認知症等の高齢者の増加が予想されることから,後見人のなり手を増やすことを主眼とするもので,5月上旬までに施行される予定です。
また,この法律は,市民から後見人を育成して,活用を図ると明記しており,市民後見制度の拡充を図っております。
そして,そのための必要な法整備や財政上の手当てを速やかに講じるよう政府に義務づけました。首相がトップの利用促進会議を内閣府に新設して後見人による不正防止策などを議論し,3年以内に必要な法整備をすることも定めております。
大脇総合法律事務所では~
平成12年,成年後見人制度発足時から今日まで,成年後見人,保佐人,補助人,後見監督人等として,数多くの事例に事務所全体で取り組んで参りました。 職務を行うにあたっては,被後見人等(財産管理が必要な方)の方の財産目録を速やかに作成し,通帳などの貴重品は金庫に保管するなどして厳重にそしてきめ細かい管理を心掛けております。
また,家庭裁判所に対し,適宜連絡・収支報告を行い,被後見人の方(財産管理が必要な方)のご家族からの相談・お問い合わせに関しても,真摯に対応しております。 高齢者・障害のある方の財産管理問題・虐待問題等,お悩みのある方はぜひご相談ください。
∫ 成年後見制度利用データ
(最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況ー平成26年1月~12月ー」から引用)
A.申立件数について
申 立 種 別 | 本年申立件数 | 前年申立件数 | 対前年比% |
成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の総数 | 34,373 | 34,548 | ↓0.5% |
後見開始の審判 | 27,515 | 28,040 | ↓1.9% |
保佐開始の審判 | 4,806 | 4,510 | ↑6.6% |
補助開始の審判 | 1,314 | 1,282 | ↑2.5% |
任意後見監督人選任の審判 | 738 | 716 | ↑3.1% |
B.本人と申立人との関係について
○ 申立人については,本人の子が最も多く全体の約32.1%を占め,次いで市区町村長(約16.4%),本人の兄弟姉妹(約13.5%)の順となっている。
○ 市区町村長が申し立てたものは,5,592件で,前年の5,046件(全体の約14.7%)に比べ,対前年比約10.8%の増加となっている。
○ 鹿児島家庭裁判所管内の平成26年1月から12月までの申立件数の総数は,353件で,うち市区町村長が51件(約14.4%)の申立てを行った。
C.成年後見制度の利用者数について(H26.12末時点)
申 立 種 別 | 利用者数 | 前年利用者数 | 対前年比% |
成年後見制度(成年後見・保佐・補助・任意後見) | 184,670 | 176,564 | ↑4.6% |
成年後見 | 149,021 | 143,661 | ↑3.7% |
保 佐 | 25,189 | 22,891 | ↑10.0% |
補 助 | 8,341 | 8,013 | ↑4.1% |
任意後見 | 2,119 | 1,999 | ↑6.0% |
∫ 成年被後見人・被保佐人・被補助人とは
法定後見制度は3つの区分に分けられています。
常に判断能力を欠いている方 | 判断能力が著しく不十分な方 | 判断能力が不十分な方 |
後 見 | 保 佐 | 補 助 |
たとえば,買い物も自分で出来ず誰かに代わってやってもらう必要があると思われる人です。本人の援助者として「成年後見人」が選任され,本人の行為全般について,代理することができ,本人がした行為を取り消すことが出来ます。 | たとえば,日常の買い物程度なら一人で出来るかもしれないが,不動産・自動車の売買などの重要な財産行為や契約行為を自分ですることが難しいと思われる人です。本人の援助者として「保佐人」が選任され,重要な財産行為については,保佐人の同意が必要になります。 | たとえば,日常の買い物は一人で出来るが,重要な財産行為は出来るかどうか心配なので,本人のために,援助者の支えがあった方が良いと思われる人です。本人の援助者として「補助人」が選任され,特定の行為につき,代理権や同意権が与えられます。 |
本人の判断能力が3区分のどれに該当するかは,申立時に添付するかかりつけ医等による診断書を目安にし,最終的には医師の鑑定に基づいて家庭裁判所が決定します。
任意後見制度
任意後見は,自分自身の判断能力が低下した場合に備えて,本人があらかじめ締結した契約により任意後見人となるべき者及びその者の代理権限の内容を定め,本人の判断能力が低下した場合に家庭裁判所が任意後見人を監督する任意後見監督人を選任し,契約の効力を生じさせることにより本人を保護するというものです。
当法律事務所は,社会福祉士さんと連携するなどして,高齢者・障害のある人の支援活動に積極的に携わってきました。高齢者・障害のある人の財産管理問題のほか,高齢者・障害のある人の虐待問題等を含め,高齢者・障害のある人をめぐってお悩みのある方は,ぜひご相談ください。