法テラスの利用
民事法律扶助とは法テラス(日本司法支援センター)が行っている支援制度です。
法テラス(日本司法支援センター)とは,経済的に余裕がない方に弁護士費用等の立替をしてくれる公的機関です。※利用するには収入等の資力基準を満たすことが条件です。
・資力基準の基本的な考え方
資力基準は,「生活保護法における保護の基準を踏まえ,一般的な勤労世帯の所得水準及び各地域における物価水準等を考慮したものとし,申込者の家賃,住宅ローン,医療費その他やむをえない出費等資力にかかわる個別の事情についても考慮し得るものとして定め」られています(業務方法書第10条)。
・法テラスにおける民事法律扶助の援助内容
(1)代理援助
(2)書類作成援助
(1)・(2)は,相談者と法テラスと弁護士の三者で委任契約を結ぶことで,受けることができる援助で,下記の3つの要件すべてに該当する場合に行います。
- ① 申込者が民事法律扶助資力基準に定める資力に乏しい国民等であること(下記収入要件の表参照)
- ② 勝訴の見込がないとは言えないこと
- ③ 民事法律扶助の趣旨に適すること
※資力基準を満たすかどうか判断するに際して,住民票や給与明細書等収入を明白にする疎明資料の提出が求められます。
(3)法律相談援助
(3)は,委任契約は結ばなくとも弁護士に相談することができるという援助制度です。
同一案件につき3回までは無料で相談ができるので,相談を継続し,相談内容や相談者の意向を考慮した上で弁護士が必要と判断すれば,代理援助や書類作成援助へ移行していきます。
法律相談援助においても上記①,③の要件に該当することが要件です。
※資力基準を満たすかどうか判断するに際しては,原則として疎明資料の提出は必要なく,申込書の記載等から確認できれば足りるとされています。
(4)附帯援助
(1)~(3)までの業務に附帯する業務を行うことをいいます。
◇収入要件
世帯人数 | 手取月収額 (賞与を含む)の基準 |
家賃又は住宅ローンを 負担している場合に加算できる限度額 |
---|---|---|
1人 | 18万2000円以下 | 4万1000円以下 |
2人 | 25万1000円以下 | 5万3000円以下 |
3人 | 27万2000円以下 | 6万6000円以下 |
4人 | 29万9000円以下 | 7万1000円以下 |
- 生活保護法に定める一級地(東京や大阪などの大都市部)では,上記手取月収額に10%を加えた額が収入要件です。
- 申込者及び配偶者の手取り月収額(賞与を含む)が上表の基準を満たしていることが要件となります。
- 離婚事件などで配偶者が相手方のときは収入を合算しません。
- 申込者及び配偶者と同居している家族の収入は,家計の貢献の範囲で申込者等の収入に合算します。
◇資産要件
人数 | 現金・預貯金合計額の基準 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人以上 | 300万円以下 |
- 申込者及び配偶者の保有する現金及び預貯金が上表の基準を満たしていることが要件となります。
- 離婚事件などで配偶者が相手方のときは資産を合算しません。
- 申込者及び配偶者が不動産その他の資産(居住用資産や係争物件を除く)を持っている場合は有資力者とみなされます。
- 法的手続を取りたいけれど弁護士費用が心配・・・という方も法テラスを利用することで泣き寝入りすることなく事件解決の手続が取れる場合があります。
- ご相談来所時に収入等の資料から資力基準の要件を満たすと判断された場合,収入等の資料を添えてこちらから法テラスに援助申込いたします。
- 援助が決定されましたら正式受任となります。援助決定時に立替金額が決定されます。
- 弁護士費用の立替金額は,事件内容により異なりますが,月々の法テラスへの支払いは5,000円から10,000円です。
◇立替金の償還
(1)・(2)の援助について,援助決定となり,弁護士費用等の立替金額が決まりましたら,
- 月々5,000円から10,000円を法テラス宛にお支払い頂くことになります。
- 生活保護を受給されている方は,償還の猶予または免除(月々5,000円の支払いが猶予または免除)される場合もあります。
- 詳細は,法テラスのホームページにも掲載されています。