不動産をめぐるトラブルとしては,アパート・マンションの家賃支払いの問題や立ち退き問題などの賃貸借をめぐるものが代表的です。また,不動産を売買する場合についても手付金,違約金,引渡し時期をめぐるトラブルが起こりがちです。不動産に関するトラブルは高額化したり生活に直接影響を与えたりすることが多いですので,トラブルに巻き込まれる前に弁護士にご相談されることをお勧めします。
借地・借家に関する問題
・大家から突然立ち退きを求められたが,このまま住み続けたい。
・アパートを出たが,大家がリフォーム代を差し引くと言って敷金を返してくれない。
・突然家主から大幅に家賃を値上げされたが,値上げ幅を小さくできないか。
・アパートの立ち退きを求められているが,立退料はもらえるのか。
・親の代に貸した土地・建物の地代・家賃が,近隣の相場よりもひどく安くなっているが,値上げはできないだろうか。
・貸している建物を建て替えたいので,立ち退いてもらいたい。
◎地代・家賃滞納による賃貸借契約解除,土地・建物明渡請求
地代・家賃の滞納をされている場合には,まず滞納家賃の支払を請求し,支払がない場合には,賃貸借契約を解除して,土地・建物の明渡しを求める訴訟を提起します。
◎地代・家賃の値上げ
例えば,賃貸借契約が長期にわたった等で,近隣の相場に比べて地代・家賃が不相当に安くなっている場合には,地代・家賃の値上げを求めることができる場合があります。
1.まずは,交渉をします。交渉がまとまらない場合には,民事調停を申立てます。
2.調停が不調に終わった場合には,訴訟を提起します。
◎立ち退き・立退料
土地の立退きを求めるには,契約期間更新時期に更新を拒絶して契約を終了させる必要がありますが,この場合,正当事由があると認められる必要があります。
正当事由の大きなポイントは,
1.貸主・借主がその土地を自己利用する必要性
2.借地契約に関する経緯
3.土地の利用状況
4.立退料の提示・額
です。これらを総合して正当事由があると認められる必要があります。
建物の立退きの場合には,契約期間がある場合には期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知を貸主から借主に発する必要があり,契約期間がない場合には解約の申入れをして6か月経過する必要がありますが,いずれも,上記と同様の正当事由が認められる必要があります。
一方,立退きを求められた場合には,正当事由がないことを基礎づける事情を主張することになります。また,立退きを認める場合には相当の立退料を請求することになります。
◎敷金返還請求
賃貸の建物の壁紙や畳等に,通常の使用により生じた自然劣化・通常の損耗がある場合,この賃貸物の価値の減少分は,毎月の家賃によって支払われていると考えられます。したがって,壁紙の交換や畳の表替えの費用を敷金から差し引くことはできないという考え方が一般化してきています。もちろん,借主のミスで穴をあけてしまった,汚してしまったという場合には,修繕の実費を差し引かれてもやむを得ません。
境界・通行に関するトラブル
・お隣と土地の境界でもめている。
・長年通行していた通路を地主が使わせないと言ってきて困っている。
◎境界問題
隣り合った土地の境界について争いが生じた場合,公図・地図その他の資料をもとに,もともとの境界を調査します。
その調査結果をもとに交渉しますが,交渉がまとまらない場合には,訴訟を提起します。
境界問題は,専門的調査が必要になることが多く,また対応を誤ると隣同士の人間関係に長く悪影響を及ぼすこともあります。
◎通行問題
長年,通行してきた通路の通行を拒絶された場合にも,境界問題と同様近所の人間関係にも影響します。
また,生活に直結した問題のため早めの対応が必要です。