「民法改正紹介」

2017.07.19 更新

民法とは?

1 民法は、明治31年(1898年)に制定された法律です。公の機関ではなく世間一般の人たちのことについて定められた法律(私法といいます)で、権利義務の発生や変更・消滅の要件等の法的関係について定めた法律(実体法といいます)の中でも、最も基本的な原則を定めた法律になります。
条文は、第1編:総則、第2編:物権、第3編:債権、第4編:親族、第5編:相続に分かれており、第1編から第3編を財産法、第4編から第5編を家族法などと言ったりもします。
このうち、家族法の条文については戦後に家制度廃止等の改正がありましたが、財産法の条文については、平成17年にそれまで文語体であった条文を口語体にする改正が施行された他は、内容については特に大きな改正がなされることなく、現在まで効力を有しています。

2 しかし、施行後100年以上経過する中で、条文に規定されていない点や条文上不明確な点について最高裁判所の判例で解釈を決着させた判例法理や、従前の規定では現代社会の実態に合わない条文も出てきました。
そこで、主に、第1編:総則のうち債権の発生・消滅に関わる条文や、第2編:債権の条文について、判例法理を明確化した条文に変更したり、不十分であった点について新たな制度に変更するといった目的で、改正がなされることとなり、平成29年5月26日に国会で可決成立しました。
そのため、債権法改正と言われることもあります。債権とは、人(債権者)が他の人(債務者)に対して一定の行為を請求することができる権利になります。典型的なものでは、貸金について貸主が借主に返還を請求する権利などの金員の支払請求権がありますし、賃貸借契約の終了に伴って家主が借主に家屋の明渡しを請求する権利なども債権となります。なお、物権とは、簡単に言えば人が物に対して有する権利になります。

3 改正民法の施行日は未定ですが、「公布の日から起算して3年以内の政令で定める日」であり、平成29年6月2日に公布されていますので、平成32年6月2日までには施行されることになります。
施行までには周知等のための準備期間が設けられると思われ、直ちに改正民法が施行されるわけではありませんが、施行まで最長であと3年弱しかなく、債権にかかわる事業主や法人の皆さまには改正点を踏まえた準備が必要になります。
そこで、改正点のポイントについて、次回以降、ご紹介していきたいと思います。
最初にご紹介する改正点は「消滅時効」についてです。